2024 十勝での
補聴器助成事業

「難聴が認知症を引き起こす!」という医学的根拠が実証され、全国の市町村で高額な補聴器の購入に助成事業を行う動きが顕著となり、特に、新潟県は全市町村で助成事業を行っております(新潟プロジェクト)。十勝でも、上士幌町、浦幌町、新得町、池田町、豊頃町、鹿追町の6町がすでに助成事業を行っておりますが、来年度より清水町、広尾町も実施に踏み切る動きがあり、他の助成事業を行っていない11市町村を帯広耳鼻科医会で要請書を渡し、認知症予防のため補聴器の助成事をお願いすることにしました。各市町村での動きを新聞などでみなさまもご確認くだされば幸いです。当方らが感じた印象をお伝えします。

今回訪問した、十勝で補聴器事業未実施の11市町村
<訪問順> 音更町、幕別町、帯広市、陸別町、芽室町、足寄町、更別村、中札内村、大樹町、本別町、士幌町
訪問した市町村で、なんと8市町村で町長、村長、副町長に要望書を提出して、お話を聞いてもらいました。

なお、今回の補聴器助成事業で帯広耳鼻科医会会員として動いた耳鼻科医師は
竹澤裕之医師(たけざわ耳鼻科)、石井歓医師(さつない耳鼻科)、
石川忠孝医師(いしかわ耳鼻科)、坂東伸幸医師(北斗病院耳鼻科)、
中川雅文医師(耳鼻咽喉科おとふけクリニック)です。

【音更町】 小野信次町長
【幕別町】 飯田晴義町長

音更町:
小野町長対応。我々の地元音更町は、十勝ナンバー2の町です。規模が大きいため、町長も財政面の振り分けがたいへんであり、65才以上の人口が1万3千人いるとのこと。ただ、以前より議会出ている案件でもあり、認知症予防のためになんとか前向きにやっていきたいと述べられました。40ケ所高齢者の団体や全日本年金者組合音更支部からも要望書も出たようで、これからの音更町の動きに注目です。

幕別町:
飯田町長、亀田保健福祉部部長対応。十勝ナンバー3の規模ですが、町長がすでにいろいろ勉強されており、保健福祉課の亀田さまも詳細に調査しており、鋭い質問が飛び出して、驚きました。町民の100才のお祝いに町長がお祝いに行くという行事があるようで、100才まで活躍される方の聴力が良いことにも気がついておりました。情熱とやる気が感じられました。間違いなく期待できる町と感じました。

【帯広市】 写真なし
【陸別町】 空井猛寿保健福祉センター次長

帯広市:
帯広市は市民福祉部より3名にお話し聞いていただきました。十勝の主要都市ですが、人口が多く、いったん始めた事業を継続しなければならず、途中でやめられないという点もあり、この事業を始めたいが、準備がいるということでした。補聴器で認知症が予防できるという知見はご理解いただけました。

陸別町:
保健福祉センターから3名にお話しできました。ただ、地理的に、耳鼻科を受診するにも、北見の方が行きやすく、やや情勢が異なりました。補聴器購入の点でも耳鼻科から補聴器を紹介するシステム上北見とのつながりが強そうでした。とりあえず、要請書は受け取ってもらいましたが、耳鼻科は北見圏という地理的な条件が大きく、北見からの要請が有効かな?とも思いました。北見市はすでに「補聴器助成事業」を行っております。

【足寄町】 渡辺俊一町長
【芽室町】 手島旭町長

足寄町:
渡辺町長が対応です。北十勝の中心の町ですが、65才以上の方は住民の4割を占めており、補聴器の需要は高そうに思います。町長も熱心に話を聞いてくださり、深い理解を得られました。ただ、補聴器の助成の対象になる人が多そうで、決定に時間がかかりそうでした。

芽室町:
手島町長、久保高齢者支援課課長、石田公立芽室病院事務長が対応です。町長自身が、保健福祉科出身のようで、もともと知識と見解があるようでした。じゅうぶんに必要性を感じておられましたが、あとは、財政の問題がクリアできるかが問題のようです。議会でも議題に上がっており、積極的な答弁を町長がされておりました。期待のできる町だと思います。

【更別村】 鬼頭保健福祉課主任
【中札内村】 森田匡彦村長

更別村:
保険福祉課鬼頭主任が対応してくれました。人口が少ないためか、補聴器の身障の申請自体が年に1~2件しかなく、需要が少ないという話でした。議会で議題にも挙がっていないとのことです。補聴器が認知症予防になるという点はご理解いただけました。

中札内村:
当初、予定があり欠席のはずの森田匡彦村長が出てこられました。福祉課より高桑課長、澤田課長補佐も対応してくれました。65才以上の人口も3割と若い村であり、お話からは、補聴器の需要が少なさそうでしたが、村長はじめ、保健福祉課の女性スタッフ2名もよく勉強されておりました。需要が出たときには、いつでも手を打てるように知識と情勢を収集している印象を受けました。

【大樹町】 松木義行副町長
【本別町】 佐々木町長と村本副町長

大樹町:
まず、役場が立派で玄関がどこなのか?迷うほどでした。松木副町長、水津福祉課長ら対応してくれました。「難聴から認知症になってしまう」という話を真剣に聞いていただきました。すぐに実現は難しいようですが、なんとかしたいというお話はいただきました。

本別町:
佐々木町長と村本副町長、長屋保健福祉課長がでてくるという重厚なメンバーでお話を聞いていただきました。われわれもなんとか「補聴器助成事業」を本別町にとお話させていただき、ご理解をいただきましたが、実現には、財政面の事情、聴力でどこのラインで助成するかなど決めなければならず、できるだけ前向きに検討していきたいと述べられました。

最後の訪問 【士幌町】 高木康弘町長

士幌町:
高木町長、保健福祉課長より佐藤課長、福田主幹の3名での対応です。士幌町は、「過疎指定」が外れ、財政がひっ迫してくるという事前情報が入っていたので、厳しい状況が予想されましたが、実際に訪問してみると、町長より「行うとしても1回の助成になるかな?額も他の地区並みには検討したい。」などと最も具体的な話をされ、こちらも驚きました。検討してくれるだけでもありがたいというのにうれしいお言葉でした。保健福祉課でも勉強した資料を山積みに用意しており、かなり深く勉強し、理解されておりました。士幌町も大きな期待ができる町です。

<2025年4月1日での進捗状況>


2024年より帯広耳鼻科医会で進めている「十勝市町村での補聴器助成事業」ですが、
2025年4月より、新たに 「幕別町」「士幌町」 が補聴器助成事業を開始されました。
現在のところ、十勝での補聴器助成事業実施状況は以下のようになっております。
実施:
「池田町」「新得町」「上士幌町」「豊頃町」「浦幌町」「鹿追町」「広尾町」「清水町」
「幕別町」「士幌町」

→補聴器購入の際は、担当の部署にご相談くださいませ。
未実施:
帯広市、音更町、芽室町、本別町、足寄町、陸別町、中札内村、更別村、大樹町
→まだ、補聴器助成事業は実現しておりません。

引き続き、助成制度が広まるように帯広耳鼻科医会でも努力していきたいと思います。

帯広耳鼻科医会
会 長 中川雅文
副会長 坂東伸幸
副会長 石川忠孝

今回は、このような感触をえておりますが、今後も未実施の市町村へ帯広耳鼻科医会として働きかけたいと考えております。